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悪意を感じる報道 [雑感]

地震による原発の故障以降、
放射性物質の飛散予測をやれとかやらぬとか
公表せいとかできぬとかの議論が
あちらこちらで行われているのを散見する。

情報を公表したい人だっていると思う。
いろんな方面の情報を結集して精度を上げる努力をしたいだろうし、
ちょっとでも役に立つなら……という意識もあるかもしれない。

でもそれは、その情報の「精度」「不確実性」についてきちんと理解できる方法で、の話。
ただでさえ理解に必要な知識はそれなりに多いのに、
こんな緊急事態には、ゆっくり知識を集めて情報を吟味している余裕のない人が多いだろう。
そんな状況下での不確実な情報の発表は
言ってみればデマをばらまくようなもので
研究者や現業機関に限らず、良心のある人なら、躊躇するだろう。

しかし……どうやら我が国にはそうではない人もいるらしい。

この報道に付いてる図をみてください。
色分けはしてあるけど、どの色がどういう意味なのか全く解説がありません。
つまり、この図は、全く何も意味していない落書きのようなものです。
それを、この新聞社は勝手にキャプションを付けている。

でも、あのお固いドイツの政府機関がこんな公表の仕方をするなんて?と思い
本家のページを見てみたら、

ちゃんとスケールがあるじゃないですか。
……「ちょっと薄まってる」「かなり薄まってる」「とっても薄まってる」って(笑)

この、スケールの部分を見てちょっと考えたら、
最近の「マイクロシーベルト」連発の報道で勉強した方は
この予想がどういった類のものなのか簡単に理解できるはず。
そしてそれは、ちゃんとグレースケールの下に "Important Note" として書いてある。
原発からどんな放射性物質がどのくらい出ているのかわからない状態で
「とっても薄まってる」と言っても
どのくらいの量の放射性物質がどこに来るのか来ないのかは
この図からはわからんし、
放射性物質の薄まり方の割合だけにしたって
極めて定性的であいまいな表現をしている「目安」にすぎない、ということを。
(ついでに、専門家によれば、相対的な薄まり方の予測の精度だって疑問だらけ、らしい。
ドイツだから云々じゃなくて、世界のどこの技術レベルも、だ。)

この、図の見方、不確実性の理解に極めて重要な部分を「わざと」切り取って報道しているあたり、
この記事の新聞社には馬鹿さを通り越した悪意を感じざるを得ない。
そして、こんなマスゴミを通して情報公開しても、
受け取った方はマトモな理解ができるだろうか?甚だ疑問だ。

政府の情報公開に批判が行っているらしいが、
この国の情報の公開・伝達において、
もっと別のところにも問題はないだろうか。


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